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経験からの学び

2022年1月〜3月:今期出会えて良かった本3冊



2022年もあっという間に第一四半期が終わってしまいました。
今期もプライベートに、仕事に、そして世の中的にも多くの出来事がありました。
悲しく辛い出来事も多くありましたが、一方で多くの本に救われました。

そんな2022年の最初の四半期に出会って良かった本を3冊ほど紹介したいと思います。
(この期間に出版された本でないので注意)

ちなみに、毎度言っていることですが、ここの本が決して「今のあなた」にとって最適な本かどうかは保証の限りではありません。
僕がここまでの人生で触れてきた知見がベースにあり、問題意識があり、仮説があり…そこでタイムリーに出会えたからこそ意味があったわけです。
その文脈を全て取り除いて、誰がいつ読んでも良い本というわけではありませんので、一応ご留意を。
(まあ、そんな勘違いをする人もいないと思うけど。)

ではいきましょう。
・・・

第3位:「聴く」ことの力:臨床哲学試論(鷲田清一)




タイトルはキャッチーですが、哲学書です。
この本を手に取った経緯は、これがホースコーチングに参加する前の課題図書だったからです。
正確に言うと、Podcast「超相対性理論」の3人で、この本が良さそうということで決めました。
鷲田さんの本は読んだことはありませんでしたが、数冊うちの中にありましたし、馬と対話する上で、「声なき声を聴く」ということはとても大事なイシューだと思ったからです。
実際に、この本の中にある「音響的存在」というキーワードは、馬との対話の中でも重要なものでした。

私が発する言葉はうまには伝わっていません。
しかし、馬は私の「音響」を認識している。
言葉というノイズを削ぎ落とした「音響的存在」として、私を認識しているわけです。
そう思った瞬間、言葉とはノイズなのか?本当に伝えているのは音響なのではないか?
そんなコンセプトがふと頭をよぎるきっかけにもなりました。
まだ生煮えの概念ですが、この本、そしてホースコーチングの体験をセットに、もう少し頭の中で育てていきたいと思います。
...

第2位:ひとはなぜ戦争をするのか?(A.アインシュタイン/S.フロイト)


 

この3ヶ月の中の変化といえば、間違いなくロシアによるウクライナの侵攻でしょう。
2022年2月は、歴史に残るタイミングになるはずです。
こんな時だからこそ、読むべき本がある。
私がこの期間に読んだ本は、戦争、地政学、歴史など多岐に亘りましたが、その中でも印象的だったのがこちらの本です。
第一次世界対戦後に書かれたアインシュタインとフロイトの往復書簡ですが、その後に第二次世界大戦が勃発したことで、歴史に葬られた一冊になってしまいました。
つまり、ここでのメッセージは「歴史的に意味を持たなかった」とされてしまったわけです。
しかし、今読んでみても、その価値は損なわれてはいません。
印象的なのは、何よりもフロイトの「歯切れの悪さ」です。
戦争は不可避なのか、と問いかけるアインシュタインに対して、フロイトが語る言葉はとても苦しい。
希望を持ってメッセージは終わりますが、それがいかに難しいことなのかがよく理解できます。

このフロイトのメッセージから、一世紀近い時が経ちました。
そんな長い期間を経て、今、このメッセージを超える何かを語ることができるのか?
ウクライナの惨状を目の前に、語るべき言葉を持たない私がいます。
...

第1位:エネルギーをめぐる旅(古舘恒介)


 

今期の1位はこちらの作品。
「サステナ読書室」というシリーズで選書した1冊なのですが、とても良い本でした。
タイトルの通り、エネルギーの歴史が書かれているのですが、単なる歴史ではなく、エネルギーそのものを抽象化して哲学的に考えるアプローチがとても良かったです。
エネルギー問題というのは、ウクライナ侵攻によってのっぴきならない状況になってしまいました。
しかし、そんなタイミングだからこそ、私たちにとってエネルギーとは何かということを見つめる必要があると思っています。
そのために最適な一冊。マジで読んだ方がいいですよ。
NewsPicksのトピックスというところで『「この一節」から考える読書対話』という連載をしているのですが、その中でも紹介させていただきました。こちらも参考までに。

ということで、この四半期の3冊を紹介させていただきました。
この内容は、Voicyでも語っていますので、音声のリンクも貼っておきます。また来期も良い本にめぐりあえますように!