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経験からの学び

2021年:今年出会えて良かった本5冊


さて、2021年も多くの本に出会いました。
何冊読んだんだろう?数えてないのでわかりませんが、数百冊を読み、そのうち著者とも数十人と対談させていただいたと思います。
いやはや、今年も多くの学びをいただいた一年でありました。

それでは早速2021年に出会って良かった本を5冊ほど紹介したいと思います。
(2021年に出版された本でないので注意)

ちなみに、言わずもがなですが、ここの本が決して「今のあなた」にとって最適な本かどうかは保証の限りではありません。
僕がここまでの人生で触れてきた知見がベースにあり、問題意識があり、仮説があり…そこでタイムリーに出会えたからこそ意味があったわけです。
その文脈を全て取り除いて、誰がいつ読んでも良い本というわけではありませんので、一応ご留意を。
(まあ、そんな勘違いをする人もいないと思うけど。)

ではいきましょう。
...

第5位:『理不尽な進化 増補新版』吉川浩満



まず第5位は、吉川浩満さんの『理不尽な進化 増補新版』です。
先日光栄なことに吉川さんと対談をさせていただいたのですが(記事はそのうち出るはず)、拙著『世界「失敗」製品図鑑』と絡めた進化論トークをさせていただきました。
その進化論の奥深さ、そして安直にビジネスで進化論を語る危うさなどを改めて感じた次第です。
まだVoicyでは取り上げてないので、どこかのタイミングでじっくり語りたいテーマ。
ちなみに、今年は私にとって「進化論」当たり年な一年でした。
たとえば、太刀川英輔さんの『進化思考――生き残るコンセプトをつくる「変異と適応」 (海士の風)』とか



酒井穣さんの『リーダーシップ進化論【BOW BOOKS 001】』とかも最高でした。

これらの本に共通するのは、進化論だけあって異常なくらいに時間軸が長いということと、それに比例して著者の執筆にかける熱量が半端ない、ということ。
ひたすらリスペクトしかありません。
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第4位:『省察』ルネ・デカルト



続く第4位は、デカルトの『省察』でした。
省察のスタイルを真似して、「6日連続省察チャレンジ」なるものをVoicyで実験的にチャレンジしてみましたが、これがキツかった。
第3省察あたりで根を上げそうになりました(笑)
しかし、リスナーの皆さんも6日間飽きもせずにこのチャレンジに付き合ってくれた。本当にありがたかったです。
でもね、また『デカルトはそんなこと言ってない』みたいな本が出て、自分のデカルト理解の浅さを思い知るのです。



この沼の深さよ…。
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3位:『読書と社会科学』内田義彦




3位は内田義彦さんの『読書と社会科学 (岩波新書)』。
実は1月末に読書本を出すのですが、この本の影響をかなり受けています。
「本は読むもの、本に読まれるべからず」といった名言もたくさん。
ちなみに、1月に出る本は、ショーペンハウアーの『読書について (光文社古典新訳文庫)』もかなり大きな影響をうけています。

こちらも今年読んで大きな影響を受けました。


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2位:『チッソは私であった』緒方正人




2位は緒方正人さんの『チッソは私であった: 水俣病の思想 (河出文庫)』。
チッソとはご存知水俣病の原因となった会社のことです。
そのチッソの罪を暴き、追及する立場だった緒方さんが語る「チッソは私であった」という言葉の意味は何か。
自分が責めていたものに対して、自分が仕組みの中に捉われていたという気づきは、今日を生きる私たちにも等しく深い示唆を与えてくれます。
もちろんそんな簡単な話ではないのだろうけど、緒方さんの方言混じりの柔らかい語り口によって、一気に引き込まれてしまいます。
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1位 :『世界はありのままに見ることができない』ドナルド・ホフマン




そして栄光の1位は、ドナルド・ホフマンの『世界はありのままに見ることができない なぜ進化は私たちを真実から遠ざけたのか』でした!
ホフマン、おめでとう!会ったことないけどw
さて、この本は、自分の認識がいかに脆弱なのか、ということに気づかせてくれた一冊でした。
なぜこれが1位なのか。それは、今まで読んできた哲学(それこそデカルトの『省察』)や生物学、進化論などがこの一冊で私の頭の中でいろんな形で繋がったからなのですね。
ユクスキュルの『生物から見た世界 (岩波文庫)』なんかも見事に繋がります。


そういう意味で、読んだときの私にとっては、ちょうどハマったパズルのピースみたいな知的興奮がありました。
みんなにとって良いのかどうかはわからんw

ということで、ざっと振り返ってみても、2021年は良い読書ができた一年だったなぁと思います。
2022年も良い本に巡り会えますように!
それでは皆さんも良いお年を!