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『WIRED Vol.32』でウェルビーイングを考える

WIRED VOL.32 デジタルウェルビーイング特集

今回のWIRED特集は、デジタル時代の「ウェルビーイング」だ!
“うぇるびーいんぐ”って響きはあんまり定着していないけど、平たく言うと、「この時代にどうやって幸せに生きて行くか?」ってことかな?
もちろんその答えは人それぞれなんだけど、この捉えどころのない「ウェルビーイング」という概念を考える切り口がたくさんあって、今号も無茶苦茶脳みそに刺激受けました。



まず、この抽象的なお題に対する切り口が面白い。
この本を手に取ったら、まずWIRED MANDALAと名付けられたマップを見て欲しいんです。
縦軸は、「回復」→「増幅」→「強化」という幸福度をアップデートしていく手法のあり方。
横軸は、「自然」と「テクノロジー」というアプローチのあり方。
この2軸で、論点がマッピングされていて、それ以降の記事はこのマッピング=MANDALA に沿って進んでいきます。



この枠組み、好きだなぁ。しっくりくる。
「自然」界にあるものが徐々に定量化され、「テクノロジー」の恩恵を得て、増幅、強化されていく大きな流れ。
なんかこんな抽象的なお絵描きが出来る編集力、素直にすごいと思います。

もちろん、抽象的な概念だけでなく、「ウェルビーイング」を考える具体的な切り口も。
職場のウェルビーイングに影響を与える要因」by ギャラップ社、というのはいろんなヒントになると思う。

Q1 :私は仕事の上で、自分が何を期待されているかが分かっている
Q2 :私は自分がきちんと仕事をするために必要なリソースや設備を持っている
Q3 :私は仕事をする上で、自分の最も得意なことをする機会が毎日ある
Q4 :この1週間の間に、良い仕事をしていると褒められたり、認められたりした
Q5 :上司あるいは職場の誰かが、自分を一人の人間として気遣ってくれていると感じる
Q6 :仕事上で、自分の成長を後押ししてくれる人がいる
Q7 :仕事上で、自分の意見が取り入れられているように思われる
Q8 :会社が掲げているミッションや目的は、自分の仕事が重要なものであると感じさせてくれる
Q9 :会社の同僚は、質の高い仕事をするよう真剣に取り組んでいる
Q10 :仕事上で最高の友人と呼べる人がいる
Q11 :この半年の間に、職場の誰かが私の仕事の成長度合いについて話してくれたことがある
Q12 :私はこの1年の間に、仕事上で学び、成長する機会を持った

これはあくまで「職場」ということ限定なので、「人生のウェルビーイング」の一部分ではあるわけだけど。
皆さんは胸を張って「Yes!」と言い切れる項目がいくつあるだろうか?

最後になるけど、『サピエンス全史』『ホモ・デウス』でおなじみのハラリ氏の対談も掲載されています。これだけでも読む価値あると思う。
『ホモ・デウス』ではかなり悲観的な側面が描かれていたけど、そうしたこのデジタル時代の文脈において私たちは何をすべきか。
ハラリ氏の答えの一つは、「自分自身を知ろうとする努力をすること」「自分というものを過信しないこと」。
これは先日のNHKスペシャルでも彼が言っていたことで、その時にはちょっと抽象的過ぎてイマイチピンとこなかった言葉なんだけど、対談の過程で彼の考えがより理解できるようになりました。
つまり、人間というものはテクノロジーに簡単に影響されちゃうから、「真の自分の考え」「自由意志」ということを絶えず追求し、疑っていないと、あっという間にテクノロジーにハックされちゃう、ってことなんだと思う。

まあそんなことも含めて、この一冊で何かを深める、というより、世の中に散らばっているキーワードをつなげる一冊だと思う。
少なくとも僕にとってはそうでした。
この感触が伝わればいいなと思いつつ。