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『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』を読んで

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した

イギリスの最低賃金労働の現場に潜入したルポ。
自分には見えていなかったディストピア的世界が克明に描写されています。
これは一読に値します。



アマゾンやウーバーなど、テクノロジーによって圧倒的利便性と価格破壊を世の中にもたらしたサービスが存在します。
もはや消費者としては必要不可欠なサービス。
しかし、一皮剥くと、その裏側にはジョージ・オーウェルの描いた『1984年』的管理社会で働かされる過酷な現場が存在します。

「え?ウーバーは自分で好きな時間に運転しているんじゃないの?」
と思うかもしれませんが、答えはYesでもありNoでもある。
アプリを立ち上げて働く準備をするのは自由だけど、一度アプリを立ち上げると、アルコリズムから出てくるオーダーの拒否権はほとんどありません。
何度か拒否をすると、アプリがシャットダウンされてしまうのです。
したがって、継続して仕事が欲しければ、アルゴリズムの言うことを確実に聞き続けなくてはならないという世界に追い詰められるのです。

こういう過酷な環境に置かれると「なぜ肥満化が進むのか」とか、さらに「なぜEU離脱に走るのか」といった政治的な背景も見えてきます。
この手のイシューも、あまり表面的には語ることができないと気付かされます。

描かれているのはイギリスだけど、目を凝らせば身の回りにもある世界。
かの『ホモ・デウス』では、「人間がアルゴリズムに支配される将来像」を描いていましたが、その話はあんまり遠い話でもないのかもしれない、と感じました。

徹底的に救いのない刺激作。
是非読んでみてください。