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マンガ『正直不動産』を読んで、「両面型ビジネス」の難しさを知る

正直不動産(1)

面白いマンガを見つけました。
その名は『正直不動産』。
現在5巻まで出ているうちのまだ2巻までしか読めていませんが、不動産業界の勉強にもなるし、いろいろ考えさせられるビジネスマンガです。
設定としては、今まで口八丁手八丁、嘘も辞さないスタイルで成績を上げてきた腕利きの不動産営業マンが、ある日を境に全く嘘がつけなくなってしまう、というもの。
海千山千の不動産業界の中で、バカ正直なスタイルになった瞬間に、借り主からも貸し主からも、そして社内からも疎んじられてしまう。その中でどうやって生きていくべきか・・・。
そんなストーリーです。



このマンガを読むと、この不動産業界というのが、未だに「情報の非対称性」をベースにした商売をしているのか、ということが分かります。
もちろん、このマンガの主人公のように「正直さ」をベースに仕事をしている人もたくさんいると思いますが、この業界において不誠実さが横行しやすい背景もあります。
物件は同じものは二つと無い不動産。なので、目利きには経験が相当必要である一方で、買い手はほぼ一生に一度の買い物であり、経験を積む機会がない。
だからこそ、こうした不誠実さが横行しやすいのだと思います。

その中で、第2巻において印象的なシーンがあります。
それは、上司から、「君は借り主を見て仕事をしているのか、それとも貸し主を見て仕事をしているのか」と問われるシーン。主人公があまりにも借り主(消費者)にバカ正直であるために、叱責を受ける場面です。
上司は当然のように「貸し主重視だ」と言い切ります。





さて、このようなジレンマは、多くの「両面型」ビジネスでよくあることですよね。
人材紹介もそうだし、ベンチャーキャピタルなんかも同じ構造。
そんな時、「どっちが大事なんだ?」と聞かれれば、答えは一つ。

どっちも大事

です。
それ以外に答えはありません。
(もちろん、そのタイミングによって体重のかけ方は異なりますが。)

しかし、このような「どっちが大事なんだ?」という不毛な問いが横行してしまうのは理由があります。
それは「短期レース」という病気。
このマンガに出てくるような業績競争です。



この短期レースになった瞬間に、「手っ取り早いゲームの攻略法」を抑えたものの勝ちになってしまうのですね。

しかし、ビジネスというのは永遠に続く長距離走のようなもの。
こんな攻略法で短期的にトップに入ったとしても、長距離走で勝てるわけがありません。
だからこそ、「両面型ビジネス」というのは難しいし、面白くもあるわけです。

ということで、このマンガのテーマは不動産業界の暗闇を理解することにも繋がりますが、それ以上にいろいろビジネス上で陥りがちなテーマが散見されて、勉強になります。
これからのストーリーの展開も楽しみだ〜