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『ある明治人の記録』を読み、自分の境遇に感謝する

ある明治人の記録 改版 - 会津人柴五郎の遺書 (中公新書)

会津出身で日本の陸軍大将になった柴五郎の若き日々を描いた自伝。
会津藩の悲惨な歴史は大まかには知っていましたが、このように1人の人間のストーリーとして見ると、改めて明治維新というムーブメントがどれほど「暴力的なまでの理不尽さ」を包含していたかということを思い知らされます。
そして僕が知る歴史の大半は美化された「薩長史観」とも言うべき片側からの見方に占められている、ということも。



幸せだった柴五郎の少年時代。しかし、そんな中、藩がまさかの朝敵という汚名を着せられ、あっという間の戊辰戦争。そこで祖母、母、姉妹が全て自刃という絶望。会津の地を追われて極寒の斗南藩(青森県むつ市)へ移封され、乞食のような生活を送る・・・。

父親に叱られながら、餓死寸前で無理やり死んだ犬の肉を飲み込むシーンなどは、壮絶すぎて言葉が出ません。

自分がもしこの立場だったらどう生きたのだろうか?
こんな理不尽を、胸に受け止めきれるのだろうか?
当時の柴少年と同年代である我が家の少年達がこのような場面にあったら、彼らはこの苦難を乗り切ることができるのだろうか・・・?
今の自分たちには全くもってリアリティのない問いなのですが、それでも当事者の立場に身を置いて考えてしまうだけの迫力がありました。

そして、こんな理不尽は「遠い昔話」ではなく、つい最近の話。
目を凝らして見れば、全世界レベルでは必ずどこかにある話。
そう考えると、今こうして生きられている自分自身を「幸運」と感じざるを得ません。

もし今の自分の境遇に嘆いている人がいれば、この本はそんな時であっても自分自身の幸福度に気づかせてくれてくれるだけの力を持った作品だと思います。
決して気軽に読める本ではありませんが、歴史を知り、自分の視野を開かせてくれる、こういう読書もたまには必要ですね。