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『レオナルド・ダ・ヴィンチ(下)』を読んで、Connecting Dotsの意味を知る

レオナルド・ダ・ヴィンチ 下

先日『レオナルド・ダ・ヴィンチ 上』のレビューを書きましたが、今度は下巻のレビュー。
下巻はかの「最後の晩餐」から「モナリザ」に至り、レオナルドが亡くなるまでの人生の後半のストーリーです。



この後半戦を見て分かるのが、レオナルドがいかに「未完作品」が多いことか、ということ。
レオナルド素人の私は、彼の完成品、さらに言えばその中の名作と言われる作品しか知らなかったのですが、それはあくまでも氷山の一角。
その水面下ではたくさんの作品が陽の目を見ずに終わっていることに気づきます。
裏を返せば、これだけの未完の作品の裾野が広いからこそ、氷山の頂上も高くなったのかも知れません。
今どきの言い方をすれば、レオナルドはたくさんの「MVP(Minimum Viable Product)」(=あまり手を掛けないプロトタイプ)を作りまくっていた、とも言えるのかも。
つまり、いきなり壮大な完成品を目指すのではなく、最小限のリソースでプロトタイプを手当たり次第作ってみる。その結果、しっくり来たものがあれば、そこに最大のリソースを投じていく、ということです。
自分が何にフォーカスすべきかは、手を動かしてみるまではわからないわけですね。天才レオナルドにとっても。
だから、ちょっと作ってみて、しっくり来るかどうかを手を動かして判断するわけです。

後世の人からしてみたら、「この未完成品を完成させてくれれば良かったのに!」と思うわけですが、これら未完成品の数々は、全て突出した完成品に至る道だったのです。
とにかく頭ばかりで悩まずに、手を動かして作ってみろ!そのうちに自分が何を作りたいのかが分かる時がくる
というレオナルドからのメッセージが伝わります。

そして、その未完成品はどこに繋がるのか・・・。
それが「モナリザ」に繋がっていくわけですね。
彼が人生を通じて追求した様々な興味関心、研究、そして途中で投げ出した作品群たちは、全て「モナリザ」が回収していきます。
モナリザは、彼が半生を通じて培った科学的知識や自然へのつきない興味、人間心理への洞察、そして解剖を通じて得た人体知識が総動員され、完璧に調和しているのです。

このレオナルドの人生の描き方を見て、「全ての点は、やがて線として繋がる時が来る」というジョブズの一節を思い出しました。("Connecting Dots"ってやつです。)
やっぱり『スティーブ・ジョブズ』を描いたアイザックソンですね。
「さすが!さすがアイザックソンだぜ!」と一人で勝手に関心して膝を打ちました。

なんだか無性にやりたいことがあるんだけど、そんなことにチャレンジしても果たして意味があるのか分からない
ってもし悩んでいる人がいたら、まずはこの『レオナルド・ダ・ヴィンチ』を読んでみることをオススメします。

レオナルドは

大丈夫!そういうチャレンジは、人生の最後の方で回収されることになってるから!

って力強く言ってくれると思う。

***

さて最後に告知。
実は本書の担当編集者である文藝春秋の衣川さんと対談をしました。
その様子はすでに収録済みで、Voicyの「荒木博行のbook cafe」にて、4/15(月)6:00から2日にわたって配信の予定。
こちらも楽しみにしてください。