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『いまこそ知りたいAIビジネス』を読んで

いまこそ知りたいAIビジネス

今や、AIやテクノロジー系の本は百花繚乱ですね。

私はこの手の本の立ち位置を理解するときに、「この本は世の中を何階から見ているんだろう」と考えたりします。

1)50階という超高層ビルの最上階に立って大きなトレンドを読み解く本
2)25階くらいの中層階で、トレンドを踏まえつつ、企業の動き方を把握する本
3)1階に立って、超具体的な振る舞い方を理解する本

というくらいに、ざっくり3つくらいのレイヤーがあると思います。

例えば、1)の最上階で言えば、『〈インターネット〉の次に来るもの』とか、さらに100階くらいまで上がると『ホモ・デウス』みたいな本があったりします。
2)の中層階で言えば、最近売れたのだと『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』あたりが該当するかな。
こういった1)や2)の中〜高層階の本は、大きなトレンドを把握できる反面、今の自分に紐付けていくのはやや距離感があり難しいものがあったりします。
だからこそ、大きなトレンドを理解しつつ、3)の低層階の本は読書ポートフォリオ上、とっても大事です。

そういう意味で、この本は1階から5階くらいまでを行き来してくれるありがたい存在ですね。



実際のビジネスでAIを導入する際に、企業側の立場で外部のプレイヤーとどういう組み方をしていくと、より効果が出やすいのか、というような超実務的な視点もあります。
特にAIをビジネスに取り込んでいく際の「導入の壁」、「定着の壁」という2つの壁をどう乗り越えるのか、というのはかなり現場感のある話でした。

また、最近のシリコンバレー企業の動向やトレンドから示唆を読み解く「5階くらいから1階を見つめる視点」もあります。
個人的に参考になったのは、EUで導入されたGDPR(General Data Protection Regulation - 一般データ保護規則)の正体と、それが私たちに与える影響についてです。
GDPRには、消費者側に「説明を受ける権利」が認められているため、企業側に「AIが出した結果について説明ができる状態にしておくこと」というシンドい制約が課せられるようです。
この課題に対してどう対処するのか、ということが現在のシリコンバレーのAI開発者の関心になっているようで、この流れは日本企業にも影響が出てくるだろうと。
しかし、AIの力をフル活用しつつ、その「因果関係」を説明できるようにしなくてはならないって、素人考えでは相当無茶な話だと思うんですが・・・どうなんでしょう?

いずれにしても、こういう具体的なトレンドから、私たちの日々の行動に影響を与えそうなヒントがいくつも得られることができます。
AIに関する本を目にしない日はありませんが、この本は、そういう意味では地に足のついた示唆を得ることができる貴重なものだと思いました。
もし少しでも関心あれば、この手のテーマは賞味期限が短いものだと思いますので、さっと読まれるのがいいかも!