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『クレイジーで行こう』に「心の整え方」を学ぶ

クレイジーで行こう! グーグルとスタンフォードが認めた男、「水道管」に挑む

献本いただきましたこの本。
ベンチャー企業の疾走感が体験できる大変面白い本でした。
著者の加藤崇氏は、グーグルが買収した日本のロボットベンチャー「シャフト」の元CFO。
そして、本書はその後、彼が単身アメリカで起業し、ロボット技術やデータ解析技術をアメリカの水道管(!)に活用していこうと奮闘する様を描いた話です。



この本で面白いのは、シリコンバレーで起業するという稀有な経験を「追体験」できるということ。
起業家後1年経った2016年4月からエグジットが成功する2018年5月までの2年間が、まさに「日記」のように綴られていくので、その時々の経営者の苦悩に共感しながら、小説のように見ることができるのです。

成功したという時点に立ち過去を振り返ると、どうしても辛い過去の経験も現在の視点で美化されてしまう傾向があると思うのですが、この本の成り立ちが「日経ビジネスオンライン」の連載をまとめたものである、ということからも推察できる通り、全て当時のリアルタイムの心境が書かれています。

また、この本の中では、後述の通りベンチャーの経営を「ジェットコースター」と表現するくだりがあるのですが、読み手も一緒にジェットコースターに乗ることができ、
「この先このビジネスはどうなるんだろう?」
「パートナーのラースさんとはこのままうまくいくといいんだけど・・・」
みたいに、自然に横から応援する気持ちになっていくのですね。

本書の途中で著者は

The Journey is the Reward
(目的地に到着することが旅の目的なのではない。​​​ ​​​​旅をすること自体が、旅の目的なのだ)

というスティーブ・ジョブズの言葉を語り、苦しい状況を達観しようと努めるシーンがあります。
おそらく、先行きの見えない状況の中で、「たとえ自分たちのビジョンを実現できなくても、この過程そのものに人生の意味があるんだ」ということを自分に言い聞かせ、自らを鼓舞しようと思っていたのだと思います。
こんなリアルな心境がとても等身大に感じられ、共感ができました。

また、本書の中で、著者がかのマーク・アンドリーセンの一節を引用し、ベンチャー経営の厳しさを語る場面があります。

起業するってことは、君たちがこれまで経験したことがないような人生のジェットコースターに乗るようなものだ。
ある日、自分は世界を征服できるんじゃないかと思うこともあれば、その数週間後には、自分の事業は破滅するんじゃないかと感じることもある。
事業が先に進むにつれて、こんな気持ちの変化が何度も何度も繰り返される。
(中略)
それが自分の感情やその時のプレッシャーによって増幅されて、ジェットコースターに乗っているような気持ちになるってわけだ


まさにここに書かれている通り、この本の中にも「無敵感」に溢れている場面や、社員の離脱などで打ちひしがれている場面の心境が描かれている場面が多々あります。
「事業の振幅」の大きさもそうですが、そこに「その時の感情」が掛け合わされて、「ジェットコースター」が出来上がるわけですね。

そういう意味で、この本を読んでいると、苦しい時に局面をどれだけポジティブに解釈し、「感情」を整えることが重要なのかがわかります。

この本からはスタートアップにおける戦略の取り方も学ぶことができるのですが、個人的にはそれ以上に「ビジネスに向き合う時の心の整え方」みたいなことを学ばせていただきました。

スタートアップとかに関係なくとも、ビジネスで苦境に陥っている人ならば、共感できること、勇気付けられることは多々あると思います。オススメ。