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『デザイン思考の先を行くもの』を読んで

デザイン思考の先を行くもの

私は仕事柄、ありがたいことに各界の素晴らしい人たちにお会いする機会があるのですが、そういう人の共通項というのは、「物事を組み合わせて考える力が突出している」ことだと感じています。
つまり、過去の全く異なる土俵での経験を、現在の目の前の課題にひゅっと当てはめて、クリエイティブな解決をしてしまう力が高いということです。
例えば、今日からVoicyで対談しているチャーリーなんかはその典型で、過去の建築の勉強や、カヤックでの経験、そして起業した会社での経験がしっかり組み合わされて『ビジネスモデル2.0図鑑』が生み出されたことがよく分かります。

この組み合わせ術を、本書『デザイン思考の先を行くもの』では、「見立てる力」と呼んでいます。



見立てる力:
それは、ふつうの人から見れば全く関係のないふたつの異なるものも、それぞれをシナリオまで抽象化して捉えることで 、同じ土俵で結びつけることができる能力 。
例えば作曲家がジェットコースターに乗ったら 、その上下運動やスピードの緩急がメロディに 「感じてきてしまう」かもしれない 。
その人の専門性や得意分野のフィルターを通すことで 、他の人には見えないものが見えてくること 。
そしてハーバードのデザイン教育は今 、世界を変えるようなイノベーションを起こす上で 、この「個人の見立てる力」こそが 、いちばん重要な要素と考えている 。


おそらくこの一節に著者が伝えたいことの本質が表されているような気がするとともに、一番共感した部分でした。
実はこの一節は結構深い記述が隠されています。
それは、「それぞれをシナリオまで抽象化して捉える」というくだりです。
何気なく読んでいると流してしまいますが、この一節をひっくり返して読むと、

いろいろな知識や経験は、そのままの状態では使えない

という意味が含まれています(おそらく)。

大事なことは、

「獲得した知識や経験は、シナリオまで抽象化して変換し直す」

ということを怠らないこと。

そう考えると、私たちは日々漫然と知識や経験を吸収しているフリをしながら、「シナリオまで抽象化する」という領域まで到達していないのではないかと気付かされます。
しかし、そのままでは、決して新たな「デザイン」は生まれません。

この一節は私の中で「いただき!」の部分であり、自分なりの言葉で改めて変換し直していこう思いました。

本そのものは文字とコンセプチュアルなページが半々なので、とても読みやすく、理解しやすいと思います。(読了まで1時間かからなかったかも)
先日の『ビジネスの限界はアートで超えろ!』 を紹介したブログにて、「アートは0→1、自分の中から生まれるもの」「デザインは1→10、他者に依存するもの」という概念整理のご紹介をしましたが、その対比を深める意味でもいいと思いますよ。