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映画・書籍レビュー

書籍紹介『すいません、ほぼ日の経営。』を読んで

クリエイターである糸井重里氏が、いかにして上場企業の社長として、企業の舵取りをしているのか。
その内情が、全編糸井さんへのインタビューという形で綴られているちょっとユニークな書籍です。
そして、この本はこの「インタビューを通じた対談形式」ということがものすごく意味のある書籍だと感じました。
その理由も含めて、ちょっと感じたことをお話しします。



さて、よく思うことなんですが、「組織論って子育て論と同じ」だと思っています。
世の中にはたくさんの子育て論があります。
子供が小さい頃はこうした方がいい、もう少ししたらああした方がいい・・・
しかし、つまるところ、子育ていうのは個別解しかありません。
良い子育てが何かというのは、当たり前ですが子供それぞれによって異なる。
兄貴には正解であっても、弟には失敗ということはよくあります。(←体験済み)
だからこそ、まずはその子供そのものを理解しようと努めない限り、「解」というのは導き出せません。
人格を無視して、画一的な子育て論を適用しようとすると、破綻するのは見えています。

そして、これは組織論でも同じ。
その組織の成り立ちや構成する社員のキャラクターによって、最適な組織論は異なります。
世の中、組織論にも流行り廃りがありますが、そういったセオリーに過剰にこだわるのは百害あって一利なし、ということ。
むしろ、子育てと同じように、目の前の組織に最大限の注意を払いながら、その組織の最適解を見つけていく、ということが求められるのです。

そういう意味では、この「ほぼ日」で描かれている組織論というのは、糸井重里さんという天才クリエイターが生み出した組織という大きな文脈の中における、ひとつの最適解の形なんだと思います。
したがって、ここから私たちが学ぶべきは「出てきた最適解がどういう形か」ということではなく、

糸井さんが何を見つめて、どういう試行錯誤の結果、ここにたどり着いたのか

ということなんだと思います。
そういう意味で、この本が「インタビュー形式」であるということに意味がある。
つまり、糸井さんが実際にインタビューに答える形式で、言葉を選びながら会話している様子が伺えて、彼の言葉にし難い葛藤や苦悩、そして未だに答えを探そうとしているところが行間から伝わってくる感じがするからです。
この辺はうまい作り方だと思いました。

クリエイティビティを追求している企業が、上場企業(2017年3月に上場)として資本の論理とどうバランスを取っていくのか、その辺はとても興味深いところではありますが、おそらくその最適解の解像度はこれから高まってくるのではないかと思います。

子育て本に影響を受けた教育ママが手法だけを真似して失敗するように、手法そのものは決して汎用化できるものではないと思います。
しかし、子供(=組織)を見る目そのものは汎用化できる。
そんな読み方をすれば、たくさんの「使える学び」に溢れている本だと思います。