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『ビジネス書図鑑』おわりに〜全文公開

とうとう明日11月15日発売に迫った『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』。
本書の「おわりに」に書いた文章は、この本にかける思いを全て表しています。
全文公開しておきますので、是非ご覧ください。

* * *

 「人生100年時代」というキーワードは、本書でもご紹介した『LIFESHIFT(ライフシフト)』の影響で、一躍有名になりました。
この本であらためて明確になったとおり、私たちの現役生活は、当初の想定よりも長く続くことになるでしょう。ひとつのスキルを30歳までにしっかり確立し、そのスキルをベースに40歳までに実績を残して、あとはマネジメント職に就いて引退を待つ――そういったシンプルなキャリアでなんとかやっていくことができた時代は、もはや過去のものになりつつあります。人生という名のマラソンが長距離化する21世紀において、かつてはひとつの折り返し地点と考えられていた40歳という年齢すら、まだ序盤戦である可能性があります。
そして、変化は距離だけの話ではありません。そのマラソンの道行にもあります。たとえば『インターネットの次に来るもの』、『限界費用ゼロ社会』、はたまた『スーパーインテリジェンス 』を引用するまでもなく、私たちが生きる未来の世の中のあり方は予想がつきません。

マラソンの比喩を続けるならば、今までは舗装された道路の上を走るのが当たり前だったのが、気がつけば、山道を走るトレイルランニングになっていたり、途中で海の中を泳ぐことになっていたりする可能性もある、ということです。どれだけマラソン選手として優れていても、「山道はまったく無理」「水泳は苦手」ということでは、ゴールにすらたどりつけない可能性も大いにあるのです。
では、そんな「距離もルール変更も見えないマラソン」を走るうえで求められることとは、いったい何でしょうか?
それは、「いつになっても学び続けること」です。
「マラソンしかない」と決めつけずに、ルール変更がありそうだったら新しいルールと攻略法を学べばいい。学んでみれば、ひょっとしたらマラソンよりも楽しさが見いだせるかもしれません。
その意味でいえば、私たちはもはや好むと好まざるに関係なく、これからの世の中を生き抜いていくうえで、「生涯学習」こそが私たちに課せられた要件ではないでしょうか。

しかし、こう言っておきながら、私自身はこのようなホラーストーリーをベースにした「ねばならない」という論調が好きではありません。
「私たちは学ばねばならぬ。だから学べ」なんてメッセージ、学生時代に戻ったようで、ちっとも心踊りませんよね。同じく学ぶとしても、「楽しいからこそ学ぶ」という人の方が健全だし長続きします。
何を隠そう、この私自身も、義務感に駆られて、というよりも、単に新しい世界を知ることが楽しいからこそ学んできた張本人です。「仕事がハードな中でも毎日読書は欠かさなかった」的なマッチョなストーリーではありません。
ですから、本書は「どうせ学ぶんだったら楽しく学ぼう!」「学ぶことって楽しいことだよね?」といったテイストを、できるだけ醸し出したつもりです。
マッチョな本をストイックに吸収することが好きな人は、その道を突き進んでいただければいいと思いますが、そういうことが苦手な大多数の人にとっては、まずは本書を通じて「良書から学ぶことの楽しさ」から感じ取っていただければ嬉しいです。
そして、一人でも多くの人が、この「よく分からないマラソン」の行程において、「楽しく学びながら進む集団」の一員になっていただければそれに勝るものはありません。